多点針のチョクリ仕掛けで漁師気分の入れ掛かりを楽しもうと先日、中紀・初島の「南村渡船」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の仕立船で早朝から「沖ノ島」沖へ出た。残念ながら本命のマルアジは少なかったが、体高があってプリプリの平アジ(マアジ)がよく交じりマサバは入れ掛かり。午前11時までに高松邦仁さん(泉南市)ら3人が30~45センチのマサバを195匹、29~43センチの平アジを27匹に27~30センチのマルアジを15匹釣り上げた。条件が合えば子持ちでおいしいマルアジの数釣りも期待できる。

グッグッグー。指先に重みが増していく。何匹掛かったんやろ!? 2回も上げれば2桁超えもしばしば。そんな漁師気分の入れ掛かりを堪能したのが小学生のころからの釣り友だちなんですという高松さん、木村重雄(紀の川市)さん、川里宗遠さん(同)トリオ。釣り歴は60年で現在70歳。「三度の飯より魚釣りが大好きなんですよ」と笑う。

朝イチからベテランが技ありの好発進。船尾の木村さんが40センチ級の平アジをなんと5連掛け。予想外のおいしい獲物に「これはいい。プリプリや。マルアジよりも上等やね」と驚き顔。船首では川里さんが40センチ超えのマサバを3、4連で次々釣り上げ「太いわ。ええサバや」とにんまり。水深は約70メートル。中層にマサバ、底近くに平アジが群れる。

ただ、漁師用のやわらくて長いチョクリ竿を使う手釣りだけにアタリの見極めが難しい。それでも竿先の微妙な変化を見過ごすと網代船頭が「前右、後ろ左当たってるで」と次々に指示を飛ばす。さすがベテラン漁師。頭の後ろにも目がついてるみたい。フットワークも軽く仕掛けのトラブルにも素早く対応してくれる。

あとは必死で引き上げ、手返しよく魚を外してイケスに放り込むだけ。みるみるうちにイケスが獲物で埋まっていく。そんな中、目を引いたのは、リーダー格で師匠と呼ばれている左舷前方の高松さん。「掛かったら、連掛けを誘うように一定の速さで引き上げるのがコツなんです」とマサバを8連掛け。落ち着いた手さばきが光る。

この日は、マルアジが少なかったが、体高のある平アジが良く交じり、釣れるたびに「きたきた。ええ平や」と3人が大喜び。底付近を狙っていた記者も4、5連でゲット。手応えはサバのように横へ走らず底へ底へ締め込み、かなり重たい。逃すまいと引き上げるドキドキ感がたまらない。

その後も平アジ、マルアジ交じりでマサバの爆釣を満喫し午前11時前に納竿。南村渡船では船頭がすべての獲物をしめてくれ、たっぷりの氷で持ち帰らせてくれる。1度、いたれりつくせりの船釣りを体験してみてはいかがですか。快適ですよ。【近江康輔】

【今後の見通し】取材日はマルアジの群れが小さかったが、大きな群れをとらえればサバ交じりで入れ掛かる。チョクリ釣りはこれからが最盛期。近場で群れをとらえればイケスが満タンになる早帰りの日もある。

【問い合わせ】南村渡船【電話】0737・83・3730。仕立船2人まで2万4000円、1人増3500円。出船は夜明け前。午後便もある。

【交通】JR紀勢本線の初島駅下車、徒歩約5分。同箕島駅からタクシーで約5分。車は阪和自動車道の海南ICから国道42号へ入り南下。里の交差点を右折し、道なりに進むと左側に同渡船店がある。