標高833メートルの高地バッシングを体験してみよう。山梨・河口湖「ハワイ」では今月10日から「ブラックバス選手権2019」(決勝10月20日相模湖「柴田」)の予選を7月15日まで実施している。1日に釣った3匹までの合計重量で競う。期間内なら何度でも挑戦できる。大会特有の緊張感なく普段通りの釣りでエントリーできるのがうれしい。今の河口湖なら、本来見えないものを見ることができるんです。

思えば数年前、河口湖が減水して大きく騒がれた。河口湖「ハワイ」の渡辺一孝店主は「何を根拠に言うのか分からなかったけど、富士山が噴火するとか。その影響で観光客が減ったんですよ。でも、噴火しなかった。今回はあのときよりも水は引いている。どうしたんですかね、富士山の噴火は?」と苦笑した。

昨秋から雨がほとんど降らずに水位がどんどん下がっていった。梅雨入りして雨が降ったが、わずかに20センチしか戻せなかった。シャロー(浅場)だった水域は土手となって、薄く雑草が芽を出してきて、グリーンのじゅうたんになってしまった。

本来的には、梅雨から夏にかけては、産卵の終わった個体が引きこもっていた深場からエサとなる小魚やエビなどを求めて姿を見せる。その場所が干上がったシャローのはずだった。水の中でしか暮らせないバスにとって、初夏過ごすには最も適するエリアだったのに…バスは一体どこにいるのか?

昨年の河口湖ダービー予選で3匹重量4520グラムを記録して1位通過した池谷俊輔さん(35=静岡市)に今月3日、実釣してもらった。前日の2日には54・5センチを釣り上げていて「いや~、1日早く釣ってしまいました」とちょっと悔しがっていた。

その54・5センチを釣った店前からスタートした。エレキを踏みながらゆっくりとしたスピードで船を滑らせ、スモラバを引いてくる。ドラッキングだ。

池谷さん この大減水で攻め手がなくなってしまった。ただし、今の水位だってディープ(深場)からシャローに変わるカケアガリが必ずある。その水深の境となるラインを設定して、ボートをゆっくりと動かしながらしつこくスモラバで反応を見ていく。

ほどなく池谷さんがバスをヒットさせた。スモラバが落ちていくときにガツン。作戦通りだった。

池谷さん 朝一番で手応えは十分。計測したら42センチだった。今年は大きいのがかなり釣れている。当たり年かもしれない。

池谷さんは今の河口湖をこう分析する。

池谷さん もうちょい暑くなってくるとトップとかもあるかもしれない。でも、今はコンタクトポイント(シャローとディープの境目になるカケアガリ)を出入りする荒食い1歩手前のバス狙いかな。それもあるけど、河口湖は本当に今来ておくことが大事ですね。

この減水した河口湖で何が大事なのか? 平水では決して確認することのできないシャローの形状がよく分かるのだ。

池谷さん へぇ~、こんな所に立木があるんだ、とか。湖の中で岬状になった場所がこんなにあるなんて、とか。大減水でバスの潜めそうな場所を覚えておける。丸1日釣りをしないで、シャローの底の形状を探るだけでもかなりの収穫になりますね。

河口湖では、夏前に現れるハルゼミが「ニイニイニイ」とけたたましく鳴いている。標高833メートルの高原の涼しさも心地いい。現在、ダービー予選首位は約4・5キロ。まだ、ひと波乱起きそうだ。梅雨から初夏に向かう河口湖でバスを狙ってみませんか?【寺沢卓】

★河口湖予選ルール

「ハワイ」【電話】0555・76・7629。6月10日(月)~7月15日(祝・月)。登録料金1000円で期間中なら何度でも挑戦できる。3匹の重量審査。検量は15時まで随時実施する。

★他地区予選&トライアウト&決勝

◆6月1日(土)~6月30日(日) 亀山湖「ボートハウス松下」

◆7月7日(日) 相模湖「柴田」募集20人

◆8月25日(日) 新利根川「松屋」募集30人

★トライアウト 10月6日(日)相模湖=予選敗退した全員が対象。上位3人が決勝進出。

★決勝 10月20日(日)相模湖=昨年王者の上野陽介さん、6地区×上位3人、トライアウト3人の計22人。3匹重量で競う。途中、メールによる釣果報告あり

※西湖「白根」は5月9日にダービー予選終了、代表は手塚裕樹さん、鈴木照幸さん。精進湖「湖畔荘」は今月9日にダービー予選を終えている。