落とし込み釣りで青ものを狙おうと先日、兵庫・豊岡の津居山港から出る「豊裕丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で津居山沖へ出た。朝イチからベイトフィッシュ(小魚)の大きな群れをとらえ90センチのサワラと65センチのメジロをダブルで食わせた。東風が吹き出してからはタイラバでマダイを狙い、沖野裕船長が78センチをゲット。風と波で匹数は伸びなかったが、魚影は濃いようで条件のいい日なら期待大。どちらの釣りもスリル満点で心に残る豪快なファイトだった。【近江康輔】

落とし込みは小魚を掛けてから、青ものが食いつくまでのドキドキワクワク感がたまらない。船を流したのは津居山沖の魚礁ポイント。水深は60メートル前後。魚群探知機には無数のベイト反応が出ており、それを追う青ものの気配がムンムン漂う。ベイトの群れの中へ平打ち針の太サビキをゆっくり落とすと小魚が鈴なりで掛かり、コンコンコンと竿先が揺れる。この時点で大物への期待は最高潮。そして数秒後、グーンと竿が曲がり、グイグイしなる。

1匹、2匹? それとも大型の青もの? 「今年はヒラマサがよく釣れています。慎重に引き上げて」と沖野船長がネットを手にスタンバイ。時折、竿が根元までしなり、ラインが飛ばされるかもとハラハラしながら浮かせたのは65センチのメジロに90センチのサワラだった。

このサイズのサワラは値打ちもの。西京漬けにしたらかなりうまい。次はヒラマサを食わせたら最高だなと期待に胸を膨らませて仕掛けを打ち返すが、そうそううまくはいかなかった。魚の食いが落ちる東の風が強まるとベイトフィッシュの反応が一気ダウン。落とし込みはベイト次第。あきらめが肝心と沖へ船を走らせ、タイラバでマダイを狙うことにした。

水深は100メートル前後。底は岩礁が広がる沖野船長一押しのポイントで、5月に釣行したときに80センチのマダイを食わせたところ。夢を再びと底まで120グラムのタイラバを落とし、竿先、リールを巻く指先に神経を集中し、底から20メートル上までをデッドスローで探るとすぐにコツコツとアタリがきた。

そのまま巻き続けるとカンカンカンと竿をたたく。しかし、手応えは軽い。姿をみせたのは30センチのレンコダイだった。すると船長にもアタリ。しかも竿先が海中へ引き込まれ、ドラグ音がジージーと響く。今度は記者がネットを持って待ち構える。ラインを巻き取っては引き出される一進一退のファイトの末に取り込んだのは美しい魚体をした78センチのマダイだった。さすが船長。お見事。記者も、負けじと竿先に神経を集中して探るが、掛かるのはカサゴ、レンコダイ、チカメキントキなどの外道ばかり。東の風が一段と強まった午後1時に納竿となった。

【今後の見通し】なぎの日なら、青ものが期待大。栄養分豊富な円山川の沖に位置する津居山沖は小アジなどがかなり多く、メジロ、ヒラマサのほか、マダイが高確率で狙える。時にはメーター級の大物が掛かるので太仕掛けで臨んでほしい。

【問い合わせ】豊裕丸【電話】090・3057・6599。乗合船料金は、落とし込み、タイラバともに1万2000円。

【交通】大阪からは中国自動車道の吉川JCTで舞鶴若狭道へ。春日ICで北近畿豊岡自動車道へ入り、日高神鍋高原ICを出て1つ目の信号を右折。国道312号で豊岡方面へ。豊岡から県道3号を北上。城崎温泉をすぎ、港大橋を渡り、気比の信号を左折。小さな水路にかかる橋を越えてすぐに左折。乗船場がある気比の港へ。