厳冬期のヘラブナ釣りの練習をしておこう。埼玉・円良田(つぶらた)湖では東側の常管(じょうかん)桟橋エリアが10月24日からヘラ釣り専用エリアになった。“ジョウハチ”で底を攻められますか? 「ヘラブナ道場」では、門下生の岩野忍さん(43)が人生初めて18尺のサオを握って釣果をあげることができた。「点でとらえる釣り」にようこそ。絶好調のワカサギもお伝えしたい。

円良田湖では「網中」というエリアがある。4本の桟橋がある東側の常管だ。秋の足音が聞こえてきそうなころ、今年は10月24日だった。常管桟橋だけ隔離するように網が張られ、この中で泳いでいるヘラブナは来春まで本湖には行けない。網の中なので「網中」なのだ。

目的としては、狭いエリアでヘラを放流して、活性の低くなる冬季においてもヘラ釣りを楽しんでもらうための取り組みだ。だが、今年は相次ぐ台風の来襲で、ヘラの養殖池が被害を受け、網を打ってからすぐに放流されなかった。現状、今月初旬から順次、計約3トンの新ベラが放されることになる。

果たして、常管桟橋は放流されなくても、ヘラは釣れるのか?

今回の岩野さんの課題だ。取材は10月28日。同行した大関実コーチの第一声は「ありゃ、これは濁ってるなぁ。苦戦するかもなぁ」という悲観的なため息だった。岩野さん、ピンチだ。

湖面は茶色。コーヒー牛乳を薄めたようなイメージだ。タコボウズ記者は10月1日、同15日に2度ワカサギの試し釣りで訪れているが、そのときよりも湖水の色は薄くなり、さらに湖面に散乱していたゴミや丸太はきれいに掃除されていた。

大関コーチ 水の色だけみると絶望的に感じたけど、3投目でウキが動いた。中途半端な宙釣りではなく、ジョウハチぐらいなら底でそこそこ勝負できる。

ジョウハチ。サオの長さだ。10尺(約3メートル)を「ジョウ」で、その直後の数字を足すことでサオの長さを表すのだ。「ジョウハチ」は「18尺(約5・4メートル)」の長さのサオを意味する。

大関コーチはがまかつ「幻煌天」、岩野さんは同「凛刀迅」のジョウハチを握った。

岩野さん 今までヘラを釣ったもっとも長いサオは10尺。な、長い。使いこなせるか不安だ。

大事なのは、振り込みだった。

大関コーチ ヘラの活性は低いですね。だから、サオの振り込みの精度を高めていかないといけない。今日の岩野さんはだいたい2メートル四方に着水していた。狙う底は5・5~6メートルぐらいの水深です。そこに2メートル四方のエサの柱ができる。これではヘラを動かすことはできない。精度を50センチ四方にすれば、その外にいるヘラも泳がざるをえない。分散するエサを「面」にするのではなく「点」で集約させる。

大関コーチは午前中で26匹で、この日のサオ頭(最多匹数獲得者)だった。対する岩野さんは5匹。

岩野さん とにかくジョウハチは制御できない。長い。ヒットしても潜られて両手でやっと引き寄せることができた。コーチはすぐにへラを浮かしてスー、っとタモ網に入れていた。

岩野さんの課題は、振り込みのフォームを固めて、同じ場所への着水ができるかどうか。

大関コーチ 今日の岩野さんは「釣れました」という偶然。ジョウハチを操れるようになれば必然の「釣りました」になれる。

厳冬期のヘラ釣り。点でとらえる一糸乱れぬ振り込みがポイントになってくる。頑張れ、岩野さん。

【写真&構成・寺沢卓】

▼今回のエサ 冬の底釣りなので「ダンゴの底釣り・夏」「同・冬」「ペレ底」をそれぞれ50ccに水100ccを混ぜてまとめる。そこに「バラケマッハ」120ccを投入して熊手にしてさっくりと絡めていく。

この両ダンゴだと、アタリが少なくなったため、下バリの「食わせエサ」を替えた。「芋グルテン」100cc、「グルテンα21」50ccに水170ccを垂らしてしばらく放っておく。固まったら球体にして下バリに付ける。

▼問い合わせ 円良田湖管理事務所【電話】048・581・8511。