身のうまさで知られ、人気が高い、明石のブランドマダコを狙おうと先日、兵庫・明石浦漁港の「丸松乗合船」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で鹿ノ瀬へ出た。タコエギやスッテ、タコ串など、思い思いの派手な疑似餌で底をたたくと小、中型がコンスタントに掛かり、竿頭で300グラム~1・5キロを46匹の釣果だった。潮の流れが速くて苦戦する人もあったが、少ない人でも10匹は釣っており、竿にずっしりと重みが乗るマダコ特有の手応えを存分に楽しんでいた。【近江康輔】

「タコの重みがグーンとロッドに乗った瞬間がたまらない」。船尾の宮崎栄一さん(京都)が竿先を小刻みに揺らす誘いをかけたあと、タコの乗りを確かめるように引き、ガツーンと合わせを決めていく。「タコ釣りはヒットパターンを探しだすところが面白いんです。きょうは膨張色に反応がいいみたいですよ」と白と蛍光の緑色をしたタコ串で次々にマダコをゲット。朝から潮が速くて釣りづらい中、見事な技をみせた。

ポイントは鹿ノ瀬で、水深は20~25メートル。底にはカニなどの甲殻類が多くマダコの絶好の住処(すみか)が広がっている。この時期は新子も多いので、乱獲を防ぐために100グラム以下はリリースするのがルールだ。

ほかの人も宮崎さんに負けじと奮闘。丸松乗合船のスタッフ・和田勝也さんから、潮が速いときの釣り方を教えてもらった西村達彦さん(大阪)は、800グラムを立て続けに釣り上げてにんまり。時折、仕掛けを落とし直してタコにアピールする方法でペースアップ。

へ先では初めて船のタコ釣りにきた、坂田龍雄さん(大阪)が2キロ級を仕留めて大喜び。「むにゅ~としたアタリを合わせ、ロッドに重みが乗った瞬間がたまらない。めっちゃはまりました」と声を弾ませる。

このように明石のタコは釣ることの面白さはもちろんのこと、最大の魅力はなんといっても身のうまさ。紅一点・右舷で頑張りをみせる上久保真知子さん(大阪)が700グラムを釣り上げ、「明石のタコはうまみが強くてとてもおいしい。大根と甘辛く炊くのが好きなんです」と目を輝かせる。

左舷の山元達彦さんらも「タコは釣ってよし、食べてよしです。刺し身、てんぷら、たこめし、なんでもうまい。特にこれからはオリーブオイルとニンニクで煮込むアヒージョがお薦め。ビールにばっちり合いますよ」と笑顔で話す。後半になると潮の流れが緩み、あちらこちらで入れ掛かり。あと1匹、もう1匹と釣っていき、午後0時半に納竿。竿頭は宮崎さんで1・5キロまでを46匹の爆釣だった。

【今後の見通し】マダコ釣りは新子が大きくなる梅雨明けからが本番。浅場で釣れるようになるので、手返しがよくなり、大型まじりの数釣りが楽しめる。

【問い合わせ】丸松乗合船【電話】090・6981・4620。マダコの乗合船料金は7500円。午前5時半に出船(7月からは同5時)。少し西の林崎漁港には小松乗合船(日刊銀鱗倶楽部加盟店)【電話】078・923・8711がある。

【交通】JR山陽本線明石駅を下車、タクシーで約5分。車は第2神明道路・玉津ICを出て国道175号を南下。和坂の信号を左折し同2号へ。明石大橋を渡り、すぐの信号を右折。明石浦漁協前を右折。約200メートルで左に丸松乗合船事務所がある。