握り応えのある太いキスを狙おうと21日、兵庫・姫路の飾磨港から出る乗合船「知々丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で家島沖へ出た。朝から潮の流れがゆるく、風もなくて苦戦したが、竿を上下する誘いをかけ続けると良型がポツリポツリとヒット。竿頭で17~25センチを29匹に加え18~20センチのアジを3匹に23センチのカワハギを釣り上げた。キスは産卵前の卵持ちで身に厚みがあり、食味は抜群。今が狙い時ですよ。

キスは誰でも簡単に釣れるというイメージがあるが、それは真夏だけ。産卵前のこの時期はかなり手ごわい。釣行日やポイントによってキスの食い方がころころ変わるので、その都度、仕掛け、餌の大きさ、誘いの強弱などをいろいろ試してヒットパターンを探しだした人だけが数を伸ばす。そんな努力の末に掛かるキスは身が肥えた20~25センチの良型が中心。釣りの面白さ、食味の良さはこの時期ならではのだいご味だ。

当日は潮の流れがゆるく、風もなし。船が流れず、キスの活性も低いタフなコンディションだったが、そんな悪条件もなんの。キス釣りのゲーム性の高さに魅了されたベテランたちが競い合うように釣っていく。

水深は30~40メートルで底は砂地や泥地が広がる。基本的な釣り方は仕掛けを底まで落とし、竿を上下する誘いをかけたあと、しっかり止めてキスが餌を吸い込むのを待つ。これの繰り返し。

前半、目を引いたのは船尾の常連・山本正広さん(姫路市)。針がキスの口の外に掛かると、すかさず仕掛けを交換。食いが浅いと判断し、掛かりの早い短いエダス(2・5センチ)の5本針仕掛けで22センチ前後をコンスタントに釣っていく。山本さんによると「仕掛けも大事だが、誘い方も大事。オモリで底をたたくのではなく、仕掛けの長さ分を底から引き上げ、餌をしっかり動かすことが大事なんです」と話す。大半の人が数匹しか釣っていない中、早々に2桁釣り上げ、ベテランの技をみせた。

午前11時ごろになると潮が流れだし「三度の飯よりもキス釣りが好き」という左舷後方の大石祐介さん(大阪)がペースアップ。胴突き仕掛けのズル引きで21、23センチを2連掛け。「ちょい投げし、指で両軸リールのスプールを少しずつ動かすスローな引き釣りがいいみたい。胴突きフカセも試します」と笑顔をみせる。

その隣では、毎週、知々丸に通う大ベテランの山口正さん(加古川)が誘いの大きさや餌のたらしの長さをいろいろ変えるなど、あの手この手で拾い釣り。納竿までに29匹を釣り上げ、竿頭でフィニッシュ。「きょうはかなり渋かったけど、こんな太いキスがこれだけ釣れれば値打ちがあります。今のキスはおいしいよ。刺し身、塩焼き、てんぷらが楽しみです」とにっこり。この日、好釣果だった人の餌はすべて青イソメで長めのたらし(3~4センチ)が良かったようだ。【近江康輔】

【今後の見通し】キスの産卵が終わるまでは良型が釣れ続くと思われる。梅雨が明け、家島諸島でセミが鳴きだすと、キスの活性がぐんと上がり、小、中型の入れ掛かりが楽しめる。釣期は例年、9月の末まで。

【問い合わせ】「知々丸」【電話】079・327・1761。乗合船料金6500円。午前5時集合、同5時半に出船。氷付き。

【交通】山陽電車飾磨駅を下車、徒歩約15分。タクシー約5分。車は姫路バイパス中地ICを出て、国道250号を南へ。陸橋を越え、最初の信号を左折。須加バス停前を右折。突き当たりを右折すると「知々丸」の駐車場がある。