「大魔神」こと日刊スポーツのプロ野球評論家・佐々木主浩氏(53)が、サンケイスポーツ代表で還暦を迎えたニッポン放送の松本秀夫アナウンサーと、千葉・外房は大原「力漁丸」(中井聡船長=60)とオニカサゴで対決した。ホームゲームの佐々木氏による選択希望で、対象魚種を指名。60歳にして初めて経験する松本アナのビギナーズラックがさく裂するか。はたまた、大魔神が「赤ゴジラ」を打ち取るか。「オニ退治」を果たしたのはどっち?

乗船前、松本アナがボソッとつぶやいた。「実はオニカサゴ、初めてなんです」。プロ野球の世界には初登板でノーヒットノーランとか、初打席初本塁打といった例もある。初物にほとんど抑えられる常勝を義務付けられた球団だってある。怖い1発は要警戒だ。

一方の大魔神、まずはエサとなるサバのサビキ釣りから順調に作業をこなしていった。フラッシャーサビキを投入する。中井船長の「1人7匹あれば大丈夫ですよ」とアナウンスした予定数を超える8匹を、ものの10分で確保した。

松本アナも追いついてサバの解体作業。3枚におろして、身の部分を縦長の切り身へと加工する。「マッチャン、雑なんだよ」と指摘する余裕を見せていた。

今回は大魔神のホーム裁定で実現した。「オレだって、オニカサゴは4回目くらいかな」。昨年6月に力漁丸で釣行したこともあり、楽しみにしていた。

その大魔神がいきなり先制した。第1投目の午前5時40分ごろ、大原沖の水深100メートル前後の岩礁地帯。200号のオモリを着底させて糸フケを取り、1メートルほどの巻き上げて落とし込む。ググッとアタリが伝わり、しっかり合わせると1キロ超級が針掛かりしていた。巻き上げの途中でも抵抗する。「この引き味がたまらん」と、ほえた。

1匹でも釣れれば万々歳の高級魚。冬の鍋の具材という印象が強いが、大原では15年ほど前からイサキやマダコと並ぶ夏場の看板魚として定着している。

すっかり調子に乗って午前7時すぎにも追釣した。こちらは落とし込んで誘うのではなく、「底スレスレ作戦」。起伏の激しい岩場でオモリが底をたたくのをイメージしながら、エサを底スレスレにはわせて食わせた。

YouTubeの動画で事前に勉強してきたという松本アナの反撃は、午前7時50分ごろ。「分からないことだらけですよ」と言いながら、ようやくコツをつかんだか、良型のカサゴを釣り上げた。潮が流れ始めたのか、船中で次々と同乗者のサオが絞り込まれる。オニカサゴのほか、時にはサメの猛襲に遭いながらも、カサゴ、ユメカサゴ、イトヨリなど、カラフルなゲストも釣れた。

直後に大魔神がダメ押しの3匹目。やはり、底スレスレで誘って、サイズアップとなる1・3キロサイズを釣り上げた。「ビシッと合わせも決まったよ」。経験の差を見せつけての「オニ退治」にご機嫌だった。

一方の松本アナ、本命は確保できなかったものの、カサゴ2匹とユメカサゴ1匹。今年に入り、対決4連勝で通算5勝2敗1分けとした大魔神が、「相手にならないよ」と叫ぶ。帰港後、還暦祝いの赤いちゃんちゃんこを着て、巻き返しを誓いながらこう切り返した。「赤いちゃんちゃんこで赤い魚が釣れました。私はオニにはなれませんでした」。【赤塚辰浩】

◆船宿 大原「力漁丸」【電話】0470・62・0575。オニカサゴは通年狙っており、現在は集合午前3時30分、出船同4時。氷付き1万2500円。午後マダコは出船正午(予定)で氷付き1万円。9月1日からはヒラメが一部解禁となる。こちらはエサ・氷付き1万2000円。釣り物は宿で要確認。