釣り大好き演歌歌手の出光仁美(37)が、神奈川・長井漆山「すえじ丸」(梶ヶ谷茂船主=75)で、スルメイカ釣りに挑戦した。プライベート釣行ではマダイ釣りでサオ頭獲得。前回、千葉・富津「みや川丸」(宮川淳船長=62)でのマダコ釣りでは船中最大2・6キロ確保など“釣り運”上昇中の出光に課されたミッションは「三浦半島で夏イカを捕獲せよ!」。結果はいかに?

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三浦半島で一年を通じてイカを狙うすえじ丸。同所で夏イカと言えば、ターゲットはスルメイカとなる。同船ではプラヅノ14~18センチ5本のブランコ仕掛け、オモリは150号を推奨。梶ヶ谷司船長(43)は基本的な釣り方を「最近は底から10メートルほどで釣れているので、まずは着底させてください。着底したら糸フケを取りましょう。それからしゃくって止めて、リールを巻いてを10メートル幅ほどで繰り返し、アタリがなければ、また着底させての繰り返しになります。アタリがあるとサオ先がプルプルするので、来たと思ったら巻き始めてください。アワセは特にいりません」とレクチャーしてくれた。

「イカは餌木で1回経験があるだけ。プラヅノは初めてです。でも頑張ります!」と前向きな出光だが、いざ仕掛け投入となると、なぜかオモリを手に握ったまま固まった。「な、なんか緊張してきた。初めてやけん…。どうぞっていわれるのかな?」。その辺は他の釣りと変わらないのだが…。イカ釣りで初挑戦者の第1関門となるのが、仕掛け投入だ。「仕掛け投入器」と呼ばれるパイプにプラヅノを投入。オモリを海面に放り投げると、そのパイプに入ったプラヅノが発射される仕組みだ。無事仕掛けを投入すると「や~、苦しい。胸がドキドキした」と初々しさをみせた。

仕掛け投入から約2時間、アタリらしきモノはない。「ぜいたくはいわんとです。せめて1匹。1匹でいいのでお願いします」。手を合わせて祈る出光の願いが届いたのか、アタリはきた。だが、顔を見せたのはサバ。「とりあえず、パーフェクトボウズ(アタリなしのボウズ)は回避ですね」と笑った。

ラスト1時間ほどとなった時点で、船中トップ5匹という激シブ状態。ここで出光がしゃくりを止め、電動リールを巻き始めた。「勘違いかもしれないけど…」。海底190メートルからの仕掛け回収は、時間の経過が長く感じる。仕掛けを手繰りプラヅノを回収していくと、最後のプラヅノに半透明でうごめくスルメイカの姿。引き上げた瞬間、イカが吐いた海水が体にかかりびしょぬれになるが、そんなこともお構いなし。「やった~!ついにきました! こげんうれしいとは思わなかった」。そう感動するが、写真撮影の化粧直しは忘れなかった。「ボウズだと眠れぬ夜が15日は続きますから。これで今夜は寝られます」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

結局この日、トップ5匹でゼロ4人。その中で、出光は貴重な1匹をゲット。やはり、持っていた! 「最初ツンツンしていたけど、巻き始めるとそれがなくなった。でも、途中でサオ先がしなっていたんです。その前のサバのときはずっと当たっている感じだったので、サバではないと思った」と目を輝かせた。

梶ヶ谷船長は「釣れない日はあっても、ここまで渋い日はあまりない。理由が分からない。イカのやる気がなかったとしかいえません」と振り返りつつ、「夏のスルメイカは恐らく8月いっぱいは狙えると思います」とアピールした。

釣れる日もあれば、そうでない日もある。それが釣りだ。激シブ状態で掛けた貴重な1匹は、感動もひとしお。そんな初心を思い出させてくれる経験も、たまにはいいかも? 【川田和博】

 

▼長井漆山「すえじ丸」電話046・856・2317。年間通じてスルメイカやヤリイカを狙える。出船6時30分。氷付き1万円。※必ず電話にてお問い合わせ下さい。

◆日刊スポーツ共栄会でスルメイカ釣りを楽しめる宿▼勝山「宝生丸」電話0470・55・2777▼腰越「森健丸」電話0467・32・2126▼手石「米丸」電話0558・65・1060 ※釣り物は変わることがあるので、必ず電話でお問い合わせ下さい。