日本では190万~230万人がC型肝炎ウイルスに感染しているという。感染経路は1992年以前の輸血、ウイルスが混入した血液製剤、覚醒剤の注射、タトゥーなど。現在は輸血、輸入血液製剤による感染はほぼなくなった。その感染力はB型肝炎やHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に比べて弱いといわれる。近年、若年層で性行為による感染が増えている。

 肝炎に詳しい東京医科歯科大学消化器内科「肝炎・肝がん撲滅外来」の朝比奈靖浩教授はこう警告する。

 「従来、C型肝炎ウイルスに感染する年齢は中年に多かったのですが、最近は20代から30代という若い世代にも多いことがわかってきました。アメリカでは性行為、薬物、タトゥー、ピアスなどによる若者の感染が指摘されていますし、日本でも同様の感染経路を指摘するデータがあります」

 一般にウイルスに感染後2~3カ月で急性の肝障害を起こす。自覚症状は体のだるさ、食欲不振などを訴えるが程度は小さく気づかない人も多い。

 朝比奈教授が続ける。

 「C型肝炎ウイルスに感染するとB型肝炎ウイルスよりもはるかに慢性化率が高くなります。しかも慢性化してもあまり症状がなく感染したことに気がつかない。知らないうちに肝硬変や肝がんになるリスクがあるのです」

 C型肝炎ウイルスの慢性持続感染に対しては、ウイルスの増殖を阻害する新たな抗ウイルス薬の開発がすすみ、効果を上げている。朝比奈教授は「若い人でも感染し慢性化するリスクはあります。ただ、肝硬変や肝がんになるまでは30~40年かかるのでなるべく早くきちんと診察を受けること。また、C型慢性肝炎にはよい薬があり、ほとんどは100%ウイルスを排除できるので積極的に治療を受けてほしい」と、アドバイスしている。