前回、叱るときのNGワードを紹介しましたが、やってはいけないNG態度もあります。これも4つあります。

 1つは機嫌で叱ることです。ある日は定時を過ぎても叱らないのに、ある日は5分前に来ても「遅い」と叱る。ある日は許すが、ある日は許さない。機嫌によって叱る基準が動くのはNGです。

 2つ目は人格攻撃です。叱っていいのは事実、結果、行動です。叱っていけないのは人格、性格、能力です。遅刻したことを叱責(しっせき)することは構いませんが、「だらしないから遅刻する」はアウトです。厚労省はパワハラの6類型として(1)身体的な攻撃(2)精神的な攻撃(3)人間関係からの切り離し(4)過大な要求(5)過小な要求(6)個の侵害-を挙げていますが、人格攻撃は「精神的な攻撃」です。

 3つ目は人前で叱ることです。見せしめのように人前で叱る人がいますが、これも「精神的な攻撃」で、叱られる側は恥をかかされたという気持ちでいっぱいになるだけです。電話やメールで叱ることも、互いの表情が分からないため、不要な誤解を招く恐れがあります。叱るときは面と向かって1対1です。

 最後は感情をぶつけることです。叱る目的はリクエストを伝えることです。報告書を出さない部下に対するリクエストは、報告書の提出です。ところが「お前が報告書を出さないせいで、どれだけ迷惑がかかっているのか分かっているのか」という叱り方をしてしまう人は、多いのではないでしょうか。リクエストより自分がどう思っているかを一方的に言うと、言われた側は言い訳か逆ギレで反応します。