生活習慣病の中で、最も患者さんが多いのが「高血圧」。その患者数は4300万人と推定されています。3人寄れば高血圧の患者さんが1人、という状態です。ただ、これを60代以上でみると、3人に2人は高血圧患者さんになってしまいます。今は高血圧でなくとも、自分のことと考えるべきで、早くから高血圧に対応するのは健康長寿には欠かせません。

 その高血圧と心疾患には、強い結びつきがあります。高血圧が引き起こす疾患として挙げられるのは「脳卒中」「狭心症・心筋梗塞・解離性大動脈瘤(りゅう)」「腎不全」など。まさしく血管病です。そのため、音もなく忍び寄る殺し屋「サイレントキラー」と呼ばれているのです。

 心筋梗塞、脳卒中のリスクを少しでも下げるには、まずは自分自身の血圧を知ることが大切です。ところが、高血圧患者数4300万人でも、実際に診察を受けているのは600万人という状況で、ほとんど対応されていないのです。心疾患で苦しめられないためにも、基本検査として「血圧測定」はしっかり認知すべきです。高血圧の基準となる数値は以下の通りです。

 ◆医療施設での測定値 上の血圧が140mmHg(ミリメートルエイチジー、水銀柱式血圧計の水銀柱を140ミリ押し上げる、の意味)以上、下の血圧が90mmHg以上。これは両方でなく、どちらかが超えていれば高血圧となる。

 ◆家庭血圧(家庭で測定する場合) 上の血圧が135mmHg、下の血圧が85mmHg以上。やはり、両方でなく、どちらかが超えていれば高血圧となる。

 高血圧と診断された場合は、定期的に診察を受けて血圧をしっかりコントロールしましょう。それが、心疾患を先へ先へと押しやることになるのです。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)