<心疾患の基本検査>

 「心電図検査」は、心臓が正常に機能しているかどうかを知る重要な検査です。心臓の右心房の上端部に洞結節(どうけっせつ)と呼ばれるところがあり、ここから自動的に電気的刺激が発生し、左右の心房と心室に伝わり、心臓が収縮するのです。その電気信号の強弱を波形グラフ化したのが心電図です。心臓の電気信号に異常があると、波形は乱れて異常を示します。この波形の変化を読み取れば、心臓のどこに異常があるかがわかるのです。

 心電図検査は胸部、手首、足首に電極をセットして、15秒程度心電図を記録すると終了です。この心電図からは大きく3つのことがわかります。「不整脈」「心肥大」「虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)」などです。

 <1>不整脈 心臓の拍動は一定のリズムで拡張と収縮を繰り返し、1分間に60~80回くらいが正常で、同じ波形が等間隔で表れます。その拍動の乱れた状態が不整脈。ただ、放置できないケースもあるので、状態によって、より精密な検査をすることになります。

 <2>心肥大 心電図の波形から心肥大の所見を認めることがあります。心肥大の原因として高血圧、心臓弁膜症、心筋梗塞が考えられます。その場合には「心エコー(心臓超音波)検査」などの精密検査が必要となります。

 <3>虚血性心疾患 狭心症などがあると冠状動脈の狭くなっているところでは血液の流れが悪くなり、それが心電図に波形の変化として出てきます。虚血性心疾患が疑われる場合、運動で心臓に負荷をかけて行う心電図検査の「トレッドミル検査」などが行われます。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)