<心臓・血管を若々しく保つコツ(8)>

 日本人は魚をよく食べるので、「健康に良い食生活をしている」と思っている人が少なくありません。ところが、予想をはねのける研究結果が、かなり前に報告されています。米ミネソタ大の研究グループが発表したのは、15年の長きにわたって調査した7カ国の食習慣と死亡率の関係。7カ国とはギリシャ、イタリア、旧ユーゴスラビア、フィンランド、アメリカ、オランダ、日本。対象者は1万1579人に及び、40~59歳の男性です。

 その15年間に2288人が死亡し、心臓病による死亡率はギリシャが最低、最高はフィンランドでした。なぜギリシャは最低だったのか。それを導いたのはオリーブオイルを常用しているから、と結論付けられました。だから、イタリアも心臓病の死亡率が低かったのです。

 「オリーブオイルは心臓病を予防する」。このパワーを発揮するのは、オリーブオイルの主成分である一価不飽和脂肪酸のオレイン酸の働きです。オレイン酸は、オリーブオイルの主成分の約70%を占めています。酸化しにくく、動脈硬化を促進させる悪玉のLDLコレステロールを低下させ、善玉のHDLコレステロールを増やします。

 さらに、オリーブオイルにはビタミンE、ポリフェノールも多く含まれています。これらは抗酸化作用が強いので、活性酸素を除く働きがあります。そのため、LDLの酸化を抑え、動脈硬化予防に大きく貢献しているのです。

 しかし、どんなに健康に良いといっても、オリーブオイルは高カロリーです。日本人の場合、1日に大さじ2杯程度がベストな摂取量と思われます。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)