★タンパク質が介護予防の鍵

 「高齢社会白書」(内閣府、平成29年度版)をみると、75歳以上の要支援と要介護の人はなんと32%。3人に1人の割合で、だれかの世話が必要ということです。

 介護が必要になった主な原因は「脳血管疾患」が約17%と最も多く、次いで「認知症」が16%、「虚弱」が13%、「関節疾患」が11%となっています。

 これらを防ぐために、共通して大切な栄養素があります。それは、肉や魚、牛乳、豆などに含まれるタンパク質です。

★日本人の脳血管疾患

 介護が必要になる原因の第1位、脳血管疾患はいろいろな原因で起こりますが、日本人に多いタイプの脳血管疾患は、タンパク質を中心とする栄養不足が原因で起こります。細い血管が詰まったり、破れたりするのが特徴です。

 それに対して、欧米で多いタイプは血液中の脂質が多くなり、太い血管で動脈硬化が進み、脳血管疾患を起こします。

 日本人に多いタイプを予防するには、タンパク質をしっかり取り、血管を強くすることが大切。

★食事と運動で筋肉を増強、「フレイル」になるな

 要介護になる3位以下の原因でも、タンパク質は重要です。「虚弱」は医学用語で「フレイル」といいますが、タンパク質などの栄養不足によって筋力が低下し、動けなくなる。

 運動機能が低下するロコモ症候群も、筋肉や骨をつくるタンパク質がカギを握っています。そして、認知症も、脳血管疾患を予防することで血管性認知症の予防ができます。

 日野原重明先生は、昨年105歳で亡くなる直前まで元気でした。ステーキが好きでした。ぼくは、これが日野原先生の元気の秘訣(ひけつ)だったと思っています。