◆孤食で死亡リスク上昇 65歳以上の人で、孤食をしている男性はだれかと一緒に食事をしている男性よりも、死亡リスクが1・2倍高い。そんな研究結果が、ぼくの母校・東京医科歯科大学から発表されています。

 高齢男性の孤食は、食事の内容に偏り、栄養不足が死亡リスクを上げている可能性があります。

◆多数の中の孤独がつらい 同じ調査で、家庭内孤食になっている男性は1・5倍も死亡リスクが高いという結果が出ています。

 孤独は、1人でいる状況より、複数の人のなかで強く感じる。同居人がいるのに一緒にご飯を食べていないというのは、単に、食事の時間帯が合わないだけかもしれません。しかし、「オレだけのけ者にされている」と感じるならば、その孤立感はつらいものでしょう。

◆パチンコよりも麻雀(マージャン) ぼくは内科外来で高齢男性の患者さんには、社会とのつながりを持とうと呼び掛けています。人のためにするボランティアは、自分の健康のためにもなるからです。

 まずは、趣味。麻雀相手や将棋相手を探すだけでもずいぶん違います。趣味をきっかけに雑談を楽しんだりできる。だからパチンコよりは麻雀の方がいいのです。

 写真を趣味にしたのをきっかけに、外出する機会が多くなり、がぜん、元気になった人もいます。競輪場、競馬場に出かけるのも、野球の応援に行くのもコンサートもいいと思う。

◆孤独でも楽しめばいい 男性は、心配事があってもだれかに相談することが苦手な人が多く、孤立感を深めてしまう人も多い。

 孤独をどうとらえるかが問題。1人の時間を「寂しい」ととらえるか。「何でもできる自由な時間」ととらえて楽しむか、意識の持ち方が大切なのです。