★寝不足はうつになりやすい

 今、うつ病で悩んでいる人は100万人。うつ病というほどではないものの、うつ傾向にある人は7人に1人といわれている。

 心の健康を守るためには、「睡眠」が大事です。内科外来で「何をするのも嫌になった」「何をしたらいいのかわからない」と訴える患者さんには、きちんと睡眠がとれているかフォローするようにしています。

 東大の佐々木司教授らのグループは、中学生と高校生に、睡眠時間とうつの関係をアンケートしました。

 その結果、7時間半以上寝ている子を1とすると、5時間半以下の子は3・5倍近くうつのリスクがあることがわかりました。

★寝る前に体を温める

 睡眠をしっかりとるためにはちょっとしたコツが必要です。

 その1つが夜、寝る前に体を温めること。

 (1)キムチ鍋など体を温めるものを夕飯に食べる。

 (2)夕飯後に軽い運動をし、ぬるめのお風呂にゆっくり入る。

 (3)寝る前にホットミルクを飲む。

 これらの方法で体を温めると、体温はいったん上がりますが、次第に下がっていきます。この下がっていくとき、自然に眠りに入りやすくなります。

★朝の太陽に当たろう

 でも、いちばん大切なのは朝の作法です。質のいい睡眠がとれないと、朝の目覚めもよくありませんが、ちょっとだけ眠さをこらえて太陽に当たり、できたら散歩をしてみましよう。

 さらに、スクワットをすると、筋肉作動性物質のマイオカインが分泌されます。マイオカインにはうつを防ぐ作用があると推測されています。人生の3分の1は睡眠。人生100年時代を生き抜くための大切な技術は快眠の作法です。