・「多死時代」がやってきた

 2025年には団塊の世代が後期高齢者に突入し、43万人の介護難民が出ると言われています。同時に「多死時代」がやってきます。国の推定によると、現在年間136万人の死者数は、2040年には168万人に達します。

 内閣府の調査では、5割を超える人が「自宅で最期を迎えたい」と答えていますが、現実には自宅13%、病院75%。希望と実態には大きな隔たりがあります。

・「死の哲学」を持とう

 自分なりの「死の哲学」を持つ必要があるように思います。

 「渡る世間は鬼ばかり」の橋田寿賀子さんと対談をしました。彼女は「認知症になったら安楽死がしたい」と望んでいました。日本では安楽死は認められていませんが、たくさんの賛同の声があがりました。

 思想家の西部邁(すすむ)さんが今年1月、自ら命を絶ちました。「自裁死」と言われています。病院で不本意な延命治療も受けたくないし、自宅療養では家族に迷惑がかかる。そんな中、西部さんらしい自己決定をされたのだと思います。

 安楽死も自裁死も、日本では勧められていません。

・延命治療はいるかいらないか自分で決めておこう

 食事が取れなくなって胃に穴を開けてそこから栄養を取っている人が26万人います。

 ぼくは食べられなくなったら無理な治療をしないようにと周りに伝えています。胃ろうや人工呼吸器が必要になったときに、そういう治療を受けるか拒否するか、最も自分らしい生き方を示すチャンスです。

 日本人は曖昧に決定を先延ばしして生きる傾向があるが、自分の死をどうしたいか、紙に書いておこう。人生100年時代には命のリテラシーが大切。自己決定をしましょう。