医師で作家の鎌田實氏の新連載「ピンピンひらり最新健康法」を展開中です。71歳の鎌田氏が、長寿時代の今、ピンピン健康に生きて、痛みや苦しみとは無縁で、ひらりとあの世に行きたいという自身の願望を込めて執筆。

    ◇    ◇    ◇

◆短期記憶低下の鎌田がしていること

認知症になる可能性があるかどうか、認知症遺伝子の「アポE4遺伝子」を検査することができます。ぼくは「この検査を受けてみたい」という患者さんがいても、「鎌田個人としては、おすすめできません」とお話ししています。

◆遺伝子検査より野菜と運動

ワーキングメモリーが低下してきた鎌田は、この連載に書いたように、短期記憶や長期記憶のトレーニングをしていますが、遺伝子検査をしようとは思いません。コロナ自粛中も野菜と運動にこだわっています。

◆遺伝子検査をしない理由

その理由は、認知症遺伝子をもっていたとしても、必ずしも発症するとは限らないからです。データによって違いますが、アポE4遺伝子をもつ人で認知症を発症するのは1/3といわれています。慢性炎症が遺伝子をスイッチオンにするのです。

◆遺伝子のスイッチをオンにするな

遺伝子検査が陽性で、認知症になるかもしれないとおびえ、鬱(うつ)になったり、無気力になったりしたのでは、元も子もありません。それよりも、慢性炎症とフレイルを予防しながら、スイッチがオンにならないように、前向きに生活していくほうが、脳の健康のためにはずっといい選択なのです。

◆糖尿病は認知症になりやすい

糖尿病の人は血糖値が正常な人に比べて約2倍、認知症の発症リスクが高くなります。

糖尿病のある人は、コロナ感染による致死率は9・2%と高い。血糖値を少しでも下げておきたいです。

血糖値が上がると慢性炎症が進むため、認知症のリスクが高くなると考えられているのです。糖尿病ではない人も、血糖値が高くなると慢性炎症が起こるので、できるだけ血糖値が上がりすぎないようにする工夫が必要です。