北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟氏が、「ウィズコロナ時代」のロカボ(緩やかな糖質制限)について解説します。ロカボの語源は「Low(低い) Carbohydrate(炭水化物などの糖質)」。新型コロナウイルスとの共生で新しい生活様式が求められる中、食事に気を付けながら、毎日楽しく食べて健康になりましょうと、勧めています。

   ◇   ◇   ◇

ロカボ(ゆるやかな糖質制限)では、1食あたりの糖質摂取の目安は20~40グラムです。おにぎりは1個で糖質40グラム、ごはんは茶わん半分(70グラム)で27グラム、食パンなら8枚切り1枚が20グラム、6枚切りだと1枚26グラムです。

朝食ならパンを1枚に抑えて、脂質、タンパク質をしっかり取ります。糖質の単品食いは、脂質やタンパク質による血糖上昇の抑制作用(インスリンの分泌を早めるインクレチン効果)が得られなくなってしまうので、おにぎり1個だからぎりぎりOKとか、8枚切りのパン2枚だから40グラムでセーフということではないということです。毎食、脂質とタンパク質は絶対に食べるべきです。

私自身もそうですが、食後に血糖値が上がりやすい人は、朝の糖質摂取は特に血糖値を上げます。昼食や夕食で糖質を40グラム取ったときに比べ、朝の40グラムは上がるのです。このため、私は朝は20グラムにしています。人は明け方、ステロイドホルモンや成長ホルモンという血糖値を上げやすくするホルモンが出ます。人によっては何も食べていなくとも血糖値が上がる「暁現象」も起こります。

世の中にはさまざまな健康法があります。1日の活力が湧くとして、朝食時に甘い物を食べることを勧める健康法もあるようですが、私は血糖値が上昇しやすい時間帯に、さらに血糖値の上昇を促すものを摂取する食事法は避けるべきだと思います。同じように朝の野菜ジュースやスムージーは一見体に良さそうですが、野菜だけではどうしても青臭くなってしまうため、糖質量が多くなります。避けた方がいいと思います。

◆山田悟(やまだ・さとる)1970年(昭45)、東京生まれ。慶応大医学部卒。糖尿病専門医として多くの患者と向き合う中、カロリー制限による食事療法の限界に直面し、ロカボを提唱している。「糖質制限の真実」「カロリー制限の大罪」(ともに幻冬舎新書)など著書多数。