コロナ禍の今は、誰もが感染予防に努めています。頑張れば頑張るほど「スポーツクラブに行けない」「身体を動かせない」「友達との飲み会もない」「会議はZoomばかり」となると、お酒は家飲みばかり。ますますストレスがたまります。

さらに、リモートワークが多く、身体を動かさないことから男性ホルモン(テストステロン)が低下してしまいます。また、新型コロナのことを考えるだけで気がめいり、うつ状態のようになってしまう。男性ホルモンの急激な低下が原因で起こる“男性更年期障害”こと「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」の人々は、そのような状況にあります。

LOH症候群はさまざまな症状を引き起こすのですが、なかなか泌尿器科の受診につながらないので、さらに状態を悪化させてしまいます。

LOH症候群では、性機能も落ち、「性欲がなくなる」「朝立ちもなくなる」。つまり、活力が全体的に低下してしまうのです。朝立ちがなくなった時は、私はLOH症候群を疑うべきと思います。

朝立ちがなくなることは血管の老化が進んでいる証拠。朝立ちのメカニズムは、外性器の陰茎の海綿体に血流が流入して成立します。海綿体は血管なので、その弾力性が失われてくると朝立ちは減り、ED(勃起障害)も起こりやすくなります。

テストステロンは男性の活力の源です。テストステロンの低下によって引き起こされるLOH症候群を疑った場合には、泌尿器科を1度受診することをお勧めします。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

◆井手久満(いで・ひさみつ) 1991年宮崎大学医学部卒業。国立がんセンター、UCLAハワードヒューズ研究所、帝京大学等を経て、20年4月から独協医科大学埼玉医療センター教授、低侵襲治療センター長。ロボット支援手術プロクター認定医、日本メンズヘルス医学会理事、日本抗加齢学会理事等。前立腺がん予防や男性ホルモンが研究テーマ。今年9月18~19日、日本メンズヘルス医学会を会長として開催する。