男性ホルモンのテストステロンの減少が原因で起こる「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」。一般的には「男性更年期障害」と呼ばれています。

その症状は、不安、イライラ、うつ、不眠、元気がなくなった、ほてりや発汗、筋力低下や筋肉痛、性欲の低下、勃起力が弱くなったなど、精神・身体症状が現れます。とりわけ顕著なのは性的症状だが、どれもLOH症候群に特有な症状というものではありません。

そのため、精神科や心療内科を受診する人が多い。最近は、それらの診療科の医師もLOH症候群を理解している人が増えてきたので、専門の診療科を紹介されることが増えてきました。精神科でうつ病と間違えられ、いつまでもうつ病の治療をされることは少なくなっているものの、なくなったわけではありません。

だから、前述した気になる多くの症状が出ている場合は、まずは自分自身でLOH症候群を調べる「AMSスコア」を行うことが重要。AMSスコアは17項目の質問があげられており、それに答えることで点数化できます。このAMSスコアはインターネットでもチェックは可能(診察のところで詳細を紹介します)。そのチェックを行って「問題ナシ」とはならなかった場合は、泌尿器科の専門外来である“メンズヘルス外来”を受診しましょう。

もちろん、メンズヘルス外来はどこの泌尿器科でも行っているわけではない。信頼できるメンズヘルス外来を受診するには、メンズヘルス医学会のホームページで探すことができます。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

◆井手久満(いで・ひさみつ) 1991年宮崎大学医学部卒業。国立がんセンター、UCLAハワードヒューズ研究所、帝京大学等を経て、20年4月から独協医科大学埼玉医療センター教授、低侵襲治療センター長。ロボット支援手術プロクター認定医、日本メンズヘルス医学会理事、日本抗加齢学会理事等。前立腺がん予防や男性ホルモンが研究テーマ。今年9月18~19日、日本メンズヘルス医学会を会長として開催する。