『受診控えで脂肪肝から2型糖尿病へ』

コロナ禍での運動不足や食生活の乱れで、知らずに体脂肪が増えて筋肉量が減り、隠れ脂肪肝になっている人がいるという。

「脂肪肝の方はステイホームで、体幹や足腰の筋肉量が減るなどして2型糖尿病になりやすい。しかし、コロナ禍の受診控えで、健康診断の異常数値を放置したり、受診を中断している方もいます」とは、東海大学東京病院客員准教授の茂出木成幸医師(櫻澤医院院長)。数多くの肝臓病の診断・治療を行う。

「2型糖尿病の患者さんが亡くなる原因では、肝がんも多いのです。それほど、脂肪肝と糖尿病の関係は深い。特に肝機能の数値が高い方は、肝臓に炎症が起こっている状態です。無症状でも、たかが脂肪肝と思わないようにしましょう」

肝臓に中性脂肪がたまった脂肪肝になった人の一部は、肝臓に炎症が続く「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」へ移行し、肝硬変や肝がんのリスクが上がる。

一方で、脂肪細胞が変性し、人体に良い働きをするアディポネクチンという物質も出せなくなる。アディポネクチンが減少すると、血糖値をコントロールするインスリンの効きが悪くなる。これをインスリン抵抗性という。この状態が続くと2型糖尿病の原因になる。

「すでに脂肪肝と2型糖尿病を合併している方は、病気の進行を防ぐためにも、ぜひ受診を続けて、生活習慣を見直していただきたいと思います」と茂出木医師は話す。