『医療崩壊を念頭に健康管理を意識しよう』

デルタ株の感染爆発による医療の逼迫(ひっぱく)、PCR検査希望者の急増、ワクチン接種などで通常業務が思うようにならず、クリニックの一般診療にも暗い影を落としている。一方、患者側では、あらぬうわさを信じて通院をやめ、体調不良に陥った人がいるなど、やはり深刻な事態を招いている。

「患者さんの中には、『友人から病院へ行くとコロナがうつる』といわれ、治療を中断した結果、病状が悪化して心筋梗塞や心不全になった方もいました」とは、循環器内科医の櫻澤医院(埼玉県狭山市)の茂出木純子理事長。循環器内科医として数多くの診断・治療を行い、父親から受け継いだ医院で地域医療にも貢献している。

「院内の消毒などの徹底や、病状が安定している患者さんは通院期間の間隔を延ばし、オンライン診療なども医療機関では行っています。コロナの感染予防はとても重要ですが、通院による病気のコントロールも大切です。ぜひご理解いただきたいと思います」

コロナの感染爆発では、重症化リスクが高い人は以前にも増して感染予防が必要になる。一方、感染が怖いからと生活習慣病などの治療を中断すれば、命に危機が及ぶことがある。それは避けなければならない。

「うわさ話などに翻弄(ほんろう)されないようにしましょう。ワクチン接種を含め、日頃から感染予防に十分に注意しながら、すでに持病を抱える方は、ご自身の健康管理もしっかり行う心掛けを持っていただきたいと思います」