<17>『自己流筋トレで逆効果に』

昨年来、コロナ太りが話題となり、自宅で筋肉トレーニングに励んでいる人もいる。東京五輪やパラリンピックも刺激になったのだろう。だが、健康のために始めたトレーニングも、自己流では逆効果になることがある。

「正しい姿勢でトレーニングを行わないと、骨格のゆがみにつながります。特にハードな筋トレで首の骨を痛めて頸椎(けいつい)症などになる方がいるのです」とは、「せたがや内科・神経内科クリニック」(東京都世田谷区)の久手堅司院長。肩こり・首こり外来など専門外来で、数多くの患者を診断・治療している。

頚椎症は、首の骨と骨の間の椎間板が変形する病気である。頚椎には神経の束が通っているため、変形した椎間板で圧迫されると、手や肩のしびれや痛み、あるいは、脚のしびれや痛みも生じることがある。

「しびれや痛みの不調を抱えながらも、さらにトレーニングを積み重ねて症状を悪化させてしまう人がいるのです」

手や脚の症状に加えて、ハードトレーニングによるストレスや、骨格のゆがみによる自律神経の乱れで、交感神経が優位になり、動悸(どうき)や息切れなどの症状も生じることがあるという。

「コロナ禍では難しいのですが、専門のトレーナーなどの指導を受けて正しい姿勢と、ご自身の筋肉や骨格に合わせたトレーニングに取り組みましょう」

また、不調のときには無理をしないことも大切。身体をいたわりながらトレーニングに励もう。