『だしのうま味に降圧効果』

コロナ禍では、自宅での食事がストレス発散の一助になっていることがあるだろう。新たな料理と秋の味覚に舌鼓を打つとき、高血圧予防のためにも、だしにこだわるのは一考といえる。

「干ししいたけの戻し汁に含まれるうま味成分のグアニル酸は、血流をよくして降圧作用が期待できます。また、総コレステロールを低下させる作用も報告されており、動脈硬化予防にもつながります」とは、栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅院長。「薬に頼らず自分で改善!女性の高血圧・高血糖・糖尿病」(PHP研究所刊)などの著者で、生活習慣病の患者を数多く診断・治療している。

「患者さんの中には、高血圧が動脈硬化につながることを話しても、動脈硬化がわからない人もいます。動脈硬化は、血管が硬く変性することで血流が悪くなり、血栓が生じやすくなります。動脈硬化予防は重要です」

動脈硬化で、血管壁にこぶのようなアテロームが生じると、血液の通りが悪くなり、血栓も生じやすくなる。このアテロームに関係しているのが悪玉(LDL)コレステロールだ。干ししいたけの戻し汁には、血圧を正常に導いて動脈硬化を予防し、LDLコレステロールがアテロームを形成するのを防ぐ働きもある。だし汁は、干ししいたけを水洗いした後に、一晩適量の水で戻すだけ。

「減塩でもだし汁を味わえば、料理はとてもおいしく感じられると思います。日本伝統のうま味成分をぜひ活用して、高血圧予防に役立てましょう」