たとえば「高血圧」になると医師から減塩指導や運動不足のアドバイスを受ける。こころの病気もまた同じだ。帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授はこう話す。

「精神疾患においても同様で食事を改善したり、管理栄養士による栄養食事指導を受けたりすることが薬物治療や心理療法と同じように大事になっていく。日ごろの食生活の見直しが『うつ病』などの病気の治療や予防の重要なポイントとなるわけです」

もちろん食事ですべてが解決するわけではない。運動、睡眠といった生活改善も併せて行うことが大事だと功刀主任教授は強調する。

「食事だけでなく睡眠や運動、そうした全般的なライフスタイルの変化というものがコロナ禍の今まさに乱れがちです。運動不足にもなりやすい。食事はひとつの要素であるという認識が必要です」

毎日朝昼晩3食をきちんと食べているか。栄養バランスを考えているか。食品の素材や栄養素に気を配っているか。不足が指摘されている野菜や魚、果物などは過不足なく食べられているか。そういう視点でいま一度、自分自身の食生活を見直してみよう。

「私たちの研究でうつ病にかかるリスクは朝食を食べない人のほうが高いことがわかっています。うつ病になれば食欲がなくなるというわけではなく、実際には間食や夜食は多い。うつ病の人とそうでない人の食事の時間や内容が違うということなのです」