「こころに効く精神栄養学」(女子栄養大学出版部)の著者で帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授によれば、飽食の時代のいまこそ栄養に注意すべきという。

「脳は食べ物でできているは大前提。精製・加工された食品が多くあることで食物繊維、ビタミン、ミネラルなど大切な栄養素が失われている。その結果、栄養バランスが不良、崩れているといえ、うつ病のリスクを高めていると考えられるようになってきました」。

うつ病も生活習慣からという認識が高まっているのだ。

「食物繊維の摂取量はこの20年間で急減している。食物繊維は糖分、脂肪分の吸収を緩やかにする、腸内細菌のエサになるといった大切な役割を担っています。食物繊維が豊富な野菜、果物類は、特に20代、30代が十分な量をとれていません」

ほかにも腹部の脂肪を減らすとうつ病や認知症のリスクを下げる。

「肥満はうつ病のリスクを1・5倍高め、うつ病は肥満のリスクを1・5倍高めるという双方向性の関係にあります。メタボリック症候群も同様です。糖尿病とうつ病も同じような双方向性の関連がありますし、どちらにも共通した身体的要因がある可能性が指摘されているのです」

良くも悪くも生活習慣はそれぞれが複雑に絡み合う。肥満、糖尿病は心臓病、脳卒中の温床でもある。からだの“ダイエット”はこころの健康にもよい影響がありそうだ。