魚類の影響は? 精神栄養学に詳しい帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授はこう話す。

「魚油に多く含まれているn-3系多価不飽和脂肪酸であるEPAやDHAには“うつ病のリスク”を下げるはたらきがあるといわれています。フィンランドの研究で魚をほとんど食べないグループとよく食べるグループを比べると、食べないほうが1・3倍ほどうつ病の罹患(りかん)率が高かったという報告があります」

一方で異なる話も。

「別のメタアナリシス研究ではうつ病の患者さんのEPA、DHAの血中濃度は健康な人よりも低かったのですが、私たちが日本でうつ病患者らを対象に調査したところではそうした結果は得られませんでした」(功刀主任教授)

EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)はいずれも魚油に多く含まれる。魚以外にはあまり含まれていない。魚をよく食べる日本人は有利かも。DHAにはその不足から細胞膜機能の障害が起きてセロトニンやドーパミンなどによる情報伝達が低下する可能性がある。EPAには炎症の抑制作用も。功刀主任教授が続ける。

「EPAやDHAはうつ病の治療に有効かどうかについては研究結果によって差がありますが、全体的な傾向として有効、特にEPAが有効であるという結論に落ち着きそうです。日本人のタンパク源としては、近年、魚から肉へと急激にシフトしてきており、注意が必要です。1週間に3回程度は魚料理を食べることが推奨されます」