緑茶をよく飲む人はうつ症状が少ないという。精神栄養学の第一人者、帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授が続ける。

「緑茶の成分には渋味、苦味、うま味の3つがあるといわれています。なかでもうま味成分であるテアニンにすぐれた向精神作用があるとして注目されています。緑茶の主要なアミノ酸はテアニンで、うま味で知られるグルタミン酸と似た化学構造をしているのです」

続けて「脳の中の神経細胞の大部分はグルタミン酸を神経伝達物質として用いていますが、テアニンはそうした神経細胞の機能を調節する作用があります」と説明する。

ちなみに茶の渋味はカテキン、苦味はカフェイン、うま味はテアニンと、それぞれ特徴がある。カテキンは抗酸化作用や抗菌作用などで知られているしカフェインの覚醒作用は有名だ。

「テアニンはお茶特有の成分で、たとえば睡眠改善作用といってカフェインによる脳の興奮状態を抑制するはたらきや、記憶、意欲、情報処理能力などの認知機能の改善が期待されています。私たちの研究でもテアニンが脳内の記憶やストレスにかかわる海馬という部分で、頭のよくなる脳内物質といわれるタンパク質が増えていることがわかっています」

なお、テアニンはアミノ酸のひとつだが、タンパク質には含まれておらず植物の中でも茶ぐらいにしかない。そしていわゆる高級茶のほうに含有量が多いとされている。