精神栄養学の第一人者、帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授が説く、こころと食事の関係性。

「緑茶に含まれているテアニンは、腸から吸収され“血液脳関門”を通過して脳へと送られます。脳への作用については動物実験においては神経細胞死を抑制する効果により認知症の予防効果あるいはアルツハイマー病の神経細胞死の抑制、カフェインとの組み合わせで摂取すると記憶力が高まったり作業速度、正確性が高まるといった報告もあるのです。ほかに統合失調症、不安、幻覚、妄想などの症状の軽減などさまざまな期待がもたれているのです」

こうした栄養成分はそれぞれの役割でこころによい影響をもたらすのだが私たちの身体のほうにも目を向けたい。功刀主任教授が続ける。

「腸の炎症がこころの不調に影響していることが近年わかってきました。こころとおなかは、“腸脳相関”という言葉で表されるように、互いが関与しあっていると考えられるのです。たとえば腸の“透過性”といいますが、腸というのは栄養分だけ吸収して余計なものは吸収しないほうがいいのです。そのためには腸の壁がきちんとしていないといけないわけで、腸から身体に悪いものが入り込まないようにしっかりしている必要があるのです。つまり腸から毒性物質が侵入して炎症が起きると脳にも影響が出るというわけです」

腸と脳の相互作用に大きな役割を果たすのが近年話題の「腸内細菌」だ。