こころにかかわる栄養素とは。精神栄養学に詳しい帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授は和食についての注意点を指摘する。

「伝統的な和食とは、野菜や果物、魚、大豆製品、キノコ、緑茶などをとりますが、健康的な和食のパターンの傾向が高いほど抑うつ症状のリスクが低下すると考えられています。ただ、しょうゆやみそなどからの塩分量が多くなりがちなことと、乳製品が少ない点には注意しましょう。“減塩和食+乳製品“が理想的ですね」

メンタルヘルスの向上にもうひとつ“手本”にしたいのがなんと「原始人」の生活だ。

「原始人の生活は、朝、日が昇ったら起きてその日に食べる食糧を取りに出かけるといった生活ですが、現代人と異なるのは『所有』の概念がないことです。貸す、借りるといったこともありません。つまり他人に負い目を感じることがないといわれていて、うつになりにくいと考えられています」

うつは負い目を感じるところでなりやすいという。

「一方で現代人はそれが誰のものなのかなどの優劣のために気分が落ち込みやすい。いわば際限なく利益を追求する社会なのですが、原始人はその日食べるものしか必要がないわけです。食べ物も加工せず丸ごといただくことも大切です。私たち現代人は便利さと引き換えにした文明化の代償を払っているともいえましょう」(功刀主任教授)

原始人の生活に倣(なら)うこともメンタルヘルスにはよさそうだ。