■孤立は健康に悪い

前回、一人時間を積極的に作ることが大切ということを書きました。しかし孤独になりすぎてはいけません。

アメリカのブリガムヤング大学の論文によると、孤独の早期死亡リスクは肥満の2倍高い。孤独な人はアルツハイマー型認知症になるリスクが、孤独でない人の2倍高い、という論文もあります。さらに周囲から助けが得られない「孤立」になると、脳卒中や認知症、がんの発症が多くなるとも言われています。

■「孤立無援」ではなく「個立有縁」

では僕たちは、孤独とどう付き合っていけばいいのか。その答えとして、「60代からはソロで生きる ちょうどいい孤独」(かんき出版)という本を書きました。健康を害するような孤独に陥らず、それぞれが一人の自立した人間であることを自覚した生き方は、成熟した生き方と言えます。

京都旅行したすてきな夫婦の話を聞きました。午前中、夫はお寺参り、妻は買い物、と別行動をしたそうです。お昼は待ち合わせて一緒にランチを楽しみ、午後は再び別行動。夜は同じホテルに戻り、それぞれ楽しかったことを語り合ったといいます。どんなに仲が良い夫婦でも、ずっと一緒にいると息が詰まります。何より、一人で生きる訓練をしておくことが、後々役立つはずです。

「孤立無援」ではなく「個立有縁」を意識しだすと、自分の生き方が自立してきます。そしてきちっとつながりも保つことができるようになるのです。「個立有縁」という言葉を忘れないようにしてください。