■自宅倒壊で認知機能低下

2021年12月、アメリカの中西部と南部で、史上最悪の竜巻が発生しました。米史上最長の354キロにわたって地上を移動し、たくさんの方が犠牲となり、多くの建物が倒壊しました。ここから立ち直るのは容易ではないと感じました。

2011年(平23)東日本大震災で、自宅が全壊した高齢者は認知機能低下のリスクが大きい、とハーバード大学のチームが論文をまとめています。

宮城県岩沼市で、10年と震災後の13年、16年に、65歳以上の住民3000人について認知機能を調査。高齢であることや、独居、無職、健康状態が良くないことも、認知機能を低下させるとわかりましたが、最も影響を与えていたのは、自宅の倒壊。

■ストレスが慢性炎症を起こす

認知症の原因は慢性炎症だと言われています。家がなくなり、未来に絶望し、夜も眠れなくなります。過重なストレスは血圧や血糖値を上げ、慢性炎症が起きやすくなるのです。慢性炎症を防ぐには、なんとか野菜を食べ、運動し、つらいけど笑うことが大事なのです。

■7つの悪習慣

ケンブリッジ大学の論文によると、慢性炎症が動脈硬化、認知症、がん、脂肪肝、鬱(うつ)などを引き起こします。慢性炎症を起こす7つの悪習慣は--

<1>高血圧<2>高脂血症<3>高血糖<4>たばこ<5>肥満<6>野菜不足<6>運動不足

日本は、水害や地震など災害が多い国です。家が倒壊した時、その人が孤立しないようにつながりを上手に作りながら、住む場所の確保や再建をサポートするなどの制度が必要なのです。