■渇望して生きろ

このところ、中高年の生き方について語ってきました。

スタンフォード大学卒業式の祝辞でアップル社創立者の1人スティーブ・ジョブズは、「ステイ・ハングリー、ステイ・フーリッシュ」と述べています。渇望して生きろ、バカになれ、という意味です。

■バカになる

彼はアップル社を立ち上げた時も、アップル社を辞めさせられた時も、そして、アニメーションスタジオを設立し、ハリウッドで成功しかかっていたにもかかわらず、再建のためにアップル社に舞い戻った。この時も、彼の心には「ステイ・フーリッシュ」という思いがあったと思います。

彼は、自分が作ったアップル社を放り出されても、嫉妬や批判をするのではなく、新しいことに挑戦をし始めました。アップル社の株を売ったお金で、PIXARを立ち上げたのです。当初の目的は、政府や企業にピクサー・イメージ・コンピューターというCG制作専用コンピューターを売ることでしたが、こちらの方は失敗。

しかしCGを駆使したアニメは、ディズニーと組んで、「美女と野獣」などたくさんの傑作を作り出していきます。若者たちの大好きなアニメができるきっかけになったのです。そしてスティーブ・ジョブズが放り出されたあと経営悪化したアップル社に戻されることになるのです。

バカにならなかったら、自分を裏切った会社に戻ったりしなかったでしょう。「脱皮」「もう1人の自分」「バカになれ」…これらは、「遊行期」の生き方に通じる言葉です。