五十肩

今回はよく耳にする「五十肩」(四十肩とも言う)を取り上げます。五十肩に明確な定義は決まっておらず、肩の周囲に明らかな基質的病変を伴わずに生じる炎症性疾患を指し、整形外科では肩関節周囲炎という病名が使われます。

肩関節周囲炎は40~50歳代を中心とした中高年に多く生じるため五十肩と言われますが、70歳以上にも生じます(七十肩とは言いませんが)。

症状の発生は、少し無理な姿勢で何かを取ろうとしたことなどをきっかけに生じることが多いようです。その病態は肩関節包(肩関節を包んでいる袋状の軟部組織)に微細な損傷や炎症が生じて起こると言われています。

40歳を超えてくると加齢性に関節包が硬くなってきて、ちょっとした動きで関節包が傷ついたり、炎症が生じやすくなるようです。主たる症状は肩痛とその後に生じる関節拘縮(肩があがらないなど)です。この症状には病期があり、急性期、拘縮期、回復期の3段階に分かれます。治療を受けなくても数カ月で治る人もいれば、放置して回復まで数年かかる人もいます。

鑑別する疾患として、変形性関節症や腱板(けんばん)断裂、腫瘍性病変、頸部(けいぶ)疾患(頚椎=けいつい=症性神経根症など)などの基質的病変を伴う疾患があり、まず整形外科で診断を受けて肩関節周囲炎なのかどうかをはっきりとさせることをおすすめします。そして、肩関節周囲炎は病期によって治療法が異なりますので、適切な診断を受けてから適切な治療を行うことが改善への近道です。