消費者庁が制定した家庭用品品質表示法という法律にのっとり、歯ブラシのパッケージには「かため」「ふつう」「やわらかめ」の3つに区分された毛の硬さが書いてあります。

好きな感触を選べますので、何十年も同じ硬さを使っているという方も多いようです。毛の直径が約200マイクロメートル(0.2ミリ)程度のものが「ふつう」とされる太さになり、これよりも太いと硬めに、細いと軟らかい感触になります。

口の中は歯(硬い組織)と、歯ぐきや舌(軟らかい組織)が混在する場所なので、「どこをターゲットにして磨くか」によって選ぶ毛先も変わってきます。

毛先が細い「やわらかめ」は細部まで届くメリットがある半面、毛先と歯面が触れる面積が小さくなるため、硬い部分を磨く刷掃効率は低下します。軟らかい部分に当てても痛みを感じず心地よさが得られる点から、時間をかけて歯周ポケットの中などを丁寧に磨きたい方にはおすすめです。

一方で「かため」の場合はその正反対になります。刷掃効率が高いので歯の硬い部分をこする動きには適していますが、歯ぐきに当たると痛くて磨けませんし、傷めてしまう可能性もあります。歯の硬い部分であっても、適切な力で磨かないとダメージが加わってしまいます。男性の患者さんに多いのが「かため」を好むがゆえに、本来求めるべき目的に反した結果を招いているケースです。

歯周病対策としては歯と歯の隙間や、歯ぐきとの境目をしっかり磨いていただきたいのですが、残念ながら「かため」はこうした部分の清掃に弱いです。定期検診などで歯周病リスクを指摘されているのであれば「かため」の歯ブラシ以外に補助的な清掃器具(デンタルフロスや歯間ブラシ)を複数使い分けるといった工夫が必要になってくると心得てください。