知覚過敏症状に特化した歯磨剤を複数販売しているグラクソ・スミスクライン社のデータによると、象牙質知覚過敏症患者さんの多くは普段から習慣を変え、何らかの自己流の対処を行っているそうです。

冷たい飲食物を避けるという方は77%、特定の飲み物の飲み方や食べ方を変える方が81%、食べ物を小さくかみ砕くようにする方は56%、冷たい飲み物をしばらく放置し常温にして飲む方は73%といった具合です。

歯髄(歯の神経)への負担を考えるとこれ以上刺激が伝わらないように意識しながら生活することはとても大切ですが、一方で、我慢ばかりでは必ずほころびが出てしまいます。キーンとしみる知覚過敏の症状が出た場合、まずは原因をしっかり特定するために歯科医院で診断を受けましょう。

症状の程度にもよりますが、一般的に4段階のステップで処置を行っていきます。まず初めは「初期治療による再石灰化の促進」です。口の中が酸性になると歯が溶けて虫歯になるという話は誰もが1度は耳にしたことがあると思いますが、これは歯の硬い部分であれ、根元の軟らかい部分であれ同じです。

プラーク(歯垢=しこう)の中に存在する虫歯菌は酸を作り外に放出します。歯の根元の部分が、こうしたプラークからの酸によって溶かされてしまえば当然歯髄に刺激が伝わりやすくなり知覚過敏を招きます。このため第1選択は「磨き残しをつくらないブラッシング指導」および「セルフケアの見直し」なのです。歯面に障害物がなければ、唾液中のミネラル成分による石灰化が促進できますし、軽い症状であればおさまってきます。

食後すぐに歯みがきができなくても、水などで激しく「ぶくぶくうがい」をすれば酸性に傾いた口内環境を中和できます。