知覚過敏が発症した際のファーストステップは、セルフケアの見直しです。これ以上、歯の表面がダメージを受けないように適切なツールの選択を含めた多角的な対応が必要です。

歯ブラシがあたると痛んでしまい、うまく磨けないという方は毛先が軟らかく刺激が少ないタイプに変えるなどの工夫をして、プラーク(歯垢=しこう)が残らないように丁寧にブラッシングしましょう。

デンタルフロス(糸巻状のタイプ)を歯に巻き付けてぐるりと表面を拭うだけでもネバネバは取れます。乾布摩擦の要領です。プラークは細菌の塊なので、歯の表面に付着すると酸を放出してどんどん歯を溶かしてしまいます。しみるから磨けない、汚れが残るとさらに歯が溶ける、そしてもっとしみるようになる、といった悪循環を招きます。

最初の対応が肝心です。セルフケアを行う際に効果を発揮してくれるのが、「しみる」という症状に特化した歯磨剤の存在です。フッ化ナトリウムや乳酸アルミニウム、硝酸カリウムといった成分を含んだ製品は知覚過敏を改善する効果が実証されています。ただし、一定期間継続して使用することで改善が認められることが多いようです。使ったその日にスッキリ解消、ということではないので根気よく取り組んでください。知覚過敏の治療法として、自分でまかなえることはここまでです。

初期治療で症状がおさまらない場合、歯科医院での処置に移ります。象牙質が露出した場所に薬剤を塗布したり、樹脂による被膜を形成することで、歯髄(歯の神経)に刺激が伝わる経路をふさぎます。

痛みが一時的でなく、持続した激しいものに変化した場合は抜髄(歯髄を取り除く処置)を行います。生活に支障を及ぼすほどの症状であればやむを得ず、なのです。