前立腺肥大症の手術の2つ目として、前回は電気メスを使って前立腺をくりぬく「TUEB(チューブ=経尿道的前立腺核出術)」を取り上げました。このTUEBにもメリット&デメリットはあります。今回はそこにスポットをあてます。

TUEBは前立腺の内腺を大きくくりぬく手術なので、肥大がより大きい患者さんに向いています。まさに泌尿器科医にとっては、手術をしている感じになります。内腺をきちっとくりぬくので長期成績も良いですし、再発率も少ないのがメリットです。

18回目にとりあげた手術のTURP(タープ=経尿道的前立腺切除術)と比べると、その再発率は明らかに違います。それは、内腺をきちっとくりぬいてしまうからです。

一方、デメリットは-。TUEBは電気メスで前立腺の内腺をくりぬきますが、3つ目として取り上げる手術では、電気メスではなくレーザーが使われています。そのレーザーでの手術と比べると、TUEBは手技が難しいのです。

レーザーでの手術は、前立腺の内腺と外腺の間にレーザーをあてると、自然と内腺と外腺がはがれるのです。ところが、TUEBの場合は、電気メスです。電気メスをあてると内腺と外腺がはがれるということはありません。電気メスと内視鏡を使ってしっかりくりぬいて行かないとはがれません。だから、TUEBは技術的に難しい手術だと思います。

TUEBのメリットは「再発率の少なさ」。デメリットは「手術時間が長い」のと「手術の難しさ」です。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)