前立腺肥大症は症状が軽いケースでは「経過観察」、日常生活に支障が出てくる中等症にでは「薬物療法」、薬物療法で改善がみられない、あるいは薬の副作用で服薬を続けられないケースは「手術」が検討されています。

前立腺肥大症の患者さんの20%が手術を受けています。手術を受ける場合は、主治医と相談し、自分自身の状態に最もあった手術を選択してください。そのほかにも、次の点も視野に入れておくといいでしょう。

よく質問をされるのが、「前立腺肥大症は前立腺がんになるのか?」ということ。前立腺肥大症ががんになるかというと、それはありません。ただ、肥大症の手術をしていると、前立腺の内腺の中にもがんが出てくるケースがあります。

ここまでに話した手術の中では、「TURP(タープ=経尿道的前立腺切除術)」「TUEB(チューブ=経尿道的前立腺核出術)」「HoLEP(ホーレップ=ホルミウムレーザー前立腺核出術)」などは、内腺の組織を調べることができるという点では大事なことだと思います。このほかの「CVP(接触式前立腺レーザー蒸散術)」「PVP(532ナノメートルレーザー光選択的前立腺蒸散術)」の手術では、レーザーで内腺を蒸散させるので、残念ながら組織を調べることはできません。これも手術のやり方のメリット&デメリットだと思います。

幸いなことに前立腺がんはPSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカーがありますので、手術後にPSA値がしっかり下がっているかをチェックしていきます。PSA値が上がっていく場合は、前立腺の生検を追加するケースがあります。私たち専門医としては、がんの有無をきちっと調べた後で前立腺肥大症の手術をすべきと考えています。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)