鼻いびきや単純いびきと異なり、睡眠時無呼吸症候群は、いびきをかいている本人の健康問題に直結する問題の大きないびきです。睡眠中に周辺の組織が気道をふさいで呼吸ができない状態となり、脳に酸素が供給されなくなる無呼吸状態が、睡眠中に1回10秒間以上が1時間内に5回以上もしくは7時間内に30回以上発生していると、睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)の病名が付けられます。

<1>脳が眠りに入り、気道周辺の筋肉が脱力して気道をふさぎ、呼吸ができなくなる。<2>眠っていた脳が酸素不足で覚醒し、気道周辺の筋肉に気道を空けるように命令を出す。<3>ふさがれていた気道が空き、一気に空気が出入りする時に大きな音が出る。<4>酸素が供給され、脳が眠りにつく。この<1>~<4>を睡眠中繰り返します。

結果、脳は十分に休むことができなくなり、ダメージが蓄積され、翌日の昼間に眠気を催したり、長期的な体の不調を招いたりします。20年前に電車やバス、トラックの運転手の居眠り運転が多く指摘され社会問題化したので、記憶されている方も多いのではないかと思います。

コロナ禍において、血中酸素濃度(SPO2)の数値の重要性が認知され、専用の測定装置やスマートウオッチが普及していますが、正常値である96%以上を示した状態から息を止めて90%程度にする事が、いかに苦しい事かは試してみるとすぐに分かります。このダメージが毎日蓄積されているのです、SASの各種原因と治療法について、次回説明します。

◆都筑俊寛(つづく・としひろ)コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長、フランス国立神経学研究所客員教授、医学博士、日本耳鼻咽喉科認定専門医。01年よりいびき、鼻アレルギーに対するレーザー日帰り治療に特化を始め、レーザー日帰りいびき手術の総件数は2万4000例を超える。現在はエクソソームを活用した老人性難聴の治療や難病の予防、QOL改善にも取り組んでいる。