3回目の治療が終わったAさんは6カ月が経過しましたが、聴力の低下が見られません。Aさんは難聴で失いかけていた自信を取り戻し、再び事業にまい進しておられます。医師として患者さんが治療により再び元の生活に戻り喜んでおられる姿を見るのは医師冥利(みょうり)に尽きるといえます。

Bさんは5年前から補聴器をつけ始めました。しかしコロナ禍のためマスクをしているので、補聴器を装着しているのが煩わしく、普段の生活では装着せずに過ごしておられました。仕事は後継者に引き継ぎ、悠々自適の生活をしておられたのでご本人は問題なかったのですが家族の方々が大変でした。

テレビの音が大きかったり話しかけるのに大声で出さなければならなかったのです。Bさんを私のクリニックに連れてきたのは奥さまでした。Bさんご夫婦はゴルフが趣味でBさんが運転してゴルフ場に向かいます。その車内での会話も大きな声を出さなければなりません。何よりも危険なので受診させることを奥さまが決心しBさんを説得しました。5年間補聴器をつけていたので治療は難しいかもしれないというのが私の診断でした。しかし3回目の治療から効果が見られ奥さまが大声を出さなくても会話ができるまで改善し感謝していただきました。

次回はなぜこのエクソソーム(幹細胞培養上清液)治療を始めたか、お話ししたいと思います。

◆都筑俊寛(つづく・としひろ)コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長、フランス国立神経学研究所客員教授、医学博士、日本耳鼻咽喉科認定専門医。01年よりいびき、鼻アレルギーに対するレーザー日帰り治療に特化を始め、レーザー日帰りいびき手術の総件数は2万4000例を超える。現在はエクソソームを活用した老人性難聴の治療や難病の予防、QOL改善にも取り組んでいる。