「沈黙の臓器」と言われる肝臓だけに、それががんであれば症状が出てからではかなり進行している可能性があります。前回お話しましたが、肝臓がんではすでに直径10センチになっているケースもあるのです。

だから、健康診断はきちっと受け、血液検査では肝機能の数値「AST(GOT)」「ALT(GPT)」「γ-GTP」に注目し、肝臓の異常を知りましょう。この3つは肝細胞に多く含まれる酵素で、血中にこれらの酵素が増えると数値は高くなり、肝臓が傷ついていることがわかります。ただ、γ-GTPはアルコールの大量摂取で上昇する数値ですが、3つの数値が一緒に上昇している場合は、脂肪肝が進行して炎症が起こる脂肪肝炎をすでに発症している疑いがあります。また、この数値の上昇が肝炎ウイルスに起因していて慢性肝炎の状態であれば、AST、ALTの数値は100を超えているケースが多いのです。慢性肝炎であれば、いつ発がんしても不思議ではない状態。そして、いつ肝硬変に移行しても不思議ではありません。

会社に勤めている方々は、健康診断の血液検査でこれらの数値が高い場合は、次の検査を受けることになります。次の検査に進んでいない人は、分かっていて放置することになるので、それは決してやってはいけないことです。

肝機能の数値が高いと、肝臓が今どのような状態かを知るために、さらに精査します。その第一に挙げられるのが「腹部超音波検査」。これは身体に優しい検査で、肝臓のある部分の皮膚から超音波を当て、画像化して脂肪肝の有無などが分かります。絞り込まれた場合には、次の段階の画像検査になります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)