ウイルス性肝炎の中でも、C型肝炎は治る時代に--。それにより、C型肝炎患者さんの肝硬変、肝臓がんへの進行は激減しました。その一方で、患者さんの増加で注目されているのが、「アルコール性脂肪肝」と「非アルコール性脂肪肝」。そこから進行して肝臓がんを発症している方がかなり増えています。今回は、まずはアルコール性脂肪肝に注目します。
アルコール性脂肪肝とは--。アルコールを日々大量に飲むことで、肝細胞に脂肪が過剰に蓄積した状態です。これは1日の酒量ではなく、長い年月にわたってアルコールを大量に摂取しているということです。肝臓は極めてタフな臓器で、ちょっとやそっとではめげません。それでも、日本酒に換算して毎日3合以上を飲み続けると10年、20年もすると脂肪肝になります。アルコール常習者はほぼアルコール性脂肪肝と思って良いでしょう。それは自覚症状がほとんどないからです。だから、そのまま飲み続けるとアルコール性肝炎、アルコール性肝硬変、アルコール性肝がんといった病気が待っています。
検診などで脂肪肝を疑われ、腹部超音波検査で脂肪肝と診断された場合、アルコール好きは放置しておく人が多いのですが、ここは生活改善に取り組むことが何より重要。その生活改善とは「アルコールの飲酒制限」。厳しい禁酒の前に、“制限”です。脂肪肝の段階であれば、それで改善に向かいます。きちっと治癒するには、禁酒をした場合であれば、3カ月後には体調が急に良くなり、6~12カ月で治ります。ただ、この禁酒で改善しない場合、肝臓は脂肪肝ではなく肝硬変に進んでいることが考えられるので、その後は禁酒に栄養療法を加えて治療に専念しましょう。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

