今年6月、「第59回日本肝臓学会総会」で発表された「奈良宣言2023」に注目が集まりました。それは肝疾患の早期発見・早期治療に結び付けるためです。特に注目された肝疾患は「非アルコール性脂肪肝(NAFLD=ナッフルディー)」--。非アルコール性脂肪肝を早期に発見するためにも、まず非アルコール性脂肪肝がどのような疾患かを正しく知るべきだと思います。

非アルコール性脂肪肝は、アルコール以外の「食べ過ぎ」などが原因で、肝臓に脂肪が異常に多く蓄積している状態。これが長く続いて肝臓に炎症が起こると「非アルコール性脂肪肝炎(NASH=ナッシュ)」、線維化を引き起こすと「肝硬変」につながる可能性があります。そして、その先にあるのは「肝臓がん」です。非アルコール性脂肪肝を早期に発見し、適切な対応を取るのは、極めて重要です。

非アルコール性脂肪肝を早期発見するには、「奈良宣言2023」で強く訴えられた血液検査の肝機能数値「ALT(GPT)値」が30を超えていたらかかりつけ医、あるいは肝臓の専門医を受診しましょう。そこで、まず行われるのは「腹部超音波検査」--。肝臓は超音波ですべて見ることができます。ただ、横隔膜に近い部分などは死角になりやすい傾向があります。また、高度肥満の方などは肝臓が見えづらいということはありますが、ほとんどの方は超音波検査で脂肪肝の有無はわかります。

超音波検査で脂肪肝などの状態が判断できないときは、次の検査として「CT検査」「MRI検査」を選択します。この検査で肝臓が線維化して硬くなっているのもわかります。ただ、線維化して肝硬変になる前に肝臓がんになるケースもあります。だから、ALT値が30を超えていたら、しっかり検査を受けて正しい診断を受けてください。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)