肝疾患で注目されている「非アルコール性脂肪肝(NAFLD=ナッフルディー)」は、実は誰でもなりやすい疾患。食べ過ぎや運動不足、そして肥満になるとさらに肝臓に脂肪が蓄積します。また、糖尿病など生活習慣病があると脂肪は蓄積します。NAFLDは非アルコール性の肝疾患です。そして、NAFLDの状態から進行しなければ良いのですが、20%程度の人は、次第に肝臓が壊れて炎症を起こします。それが「非アルコール性脂肪肝炎(NASH=ナッシュ)」で、肝硬変、肝臓がんに進行してしまいます。

NAFLDとNASHでは血液検査の肝機能数値であるALT(GPT)値がまったく異なります。NASHでは肝臓に炎症が起きているので肝細胞が壊れ、そこから酵素が出てきているのでALT値がアップしています。しかし、NAFLDは肝臓に脂肪がついているだけで炎症は起きていません。だから、NAFLDではALT値がそれほど上がりません。なかにはALT値がまったく上昇しない人もいます。つまり、ALT値が上がらなくても脂肪肝になっている可能性はなくはない、ということです。

だから、多少肥満気味の状態の人や、糖尿病などの生活習慣病のある人は、健康診断でALT値がそれほど高くなくても、「腹部超音波検査」を受けてみてください。数値がそれほど高くなくてもNAFLDとわかれば、それはラッキーな健康診断になった、と思います。「脂肪肝ですよ」と言われた段階で、食べ過ぎないように食生活の改善、健康を維持するための運動など、生活習慣の改善に取り組みましょう。この段階で生活習慣を改善できるとNASHへの進行が抑えられるので、肝硬変や肝臓がんの心配は減少します。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)