肝硬変は、肝臓に線維と呼ばれるたんぱくが蓄積して線維化した状態なので、肝機能はどんどん低下しています。この状態では、さすがの「沈黙の臓器」も症状を訴えます。その症状の「手掌紅斑」「クモ状血管腫」「黄疸(おうだん)」は前回紹介しました。今回は肝硬変の合併症の「食道・胃静脈瘤(りゅう)」を紹介します。

肝硬変も合併症の食道・胃静脈瘤が出てくると、これはかなり進行した状態。ある日突然の吐血でショック状態になり、救急搬送されるケースが多く見られます。これは食道、胃の中の静脈が破裂して出血するからです。

どうしてそのようなことが起こるのか-。肝臓は肝動脈と門脈2つの血管から栄養を支配されています。ところが、線維化が進んで肝硬変になると、肝臓は硬くなるので肝臓に入る血液量が減ります。すると門脈の圧が高くなるだけではなく、血液は心臓に戻るために「側副血行路(そくふくけっこうろ)」を作ります。いわゆる、バイパスです。それでよく使われるのが食道の粘膜下を走る静脈、もう一つが胃の粘膜下を走る静脈です。そこに大量の血液が流れ込むと静脈瘤ができます。これが食道・胃静脈瘤です。

食道・胃静脈瘤を知らずに放置していると、何かのきっかけで瘤に圧力がかかると瘤が破裂するのです。それが食道で起きると食道静脈瘤破裂、胃で起きると胃静脈瘤破裂。食道の中に、胃の中に出血します。患者さんはウーと気持ち悪くなり、大きく出血するとショック状態に。そして、吐物とともに大量の血を吐きます。

まさに、これは緊急事態。すぐに救急搬送されると助かる可能性はありますが、生命を落とすことも-。肝硬変の患者さんは、常に自分の状態を正しく知っておく必要があります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)