肝臓がんの治療として、ここまでは手術中心に説明してきました。手術以外の治療がないのではありませんが、基本は手術。あとは肝臓の状態やがんの状態によってそれにあった治療を選択することになります。
手術以外であれば、「ラジオ波焼灼療法」「肝動脈塞栓(そくせん)療法」「分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬」などが代表的です。あとは、肝臓がんの究極の手術となる「肝移植」です。
◎ラジオ波焼灼療法 肝臓がんをラジオ波という電磁波の熱で焼灼する治療です。開腹することなく、腹部から超音波でがんの位置を確認しながら、ラジオ波の電極針を差し込みます。
針ががんに刺さるとラジオ波を流してがんを焼灼します。開腹することのない身体に優しい手術です。比較的小さながんであれば、治療成績は「手術と同等」という報告が出ています。その比較的小さながんとは「3センチまでのがん」なので、早期に発見できるとラジオ波焼灼療法という選択肢もあります。
◎肝動脈塞栓療法 肝臓がんは肝動脈から栄養を受けています。その栄養血管の血流を止め、がんを壊死(えし)させる治療です。手術やラジオ波焼灼療法が不適応な患者さんは、この治療を選択されることが多いです。
◎分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬 がん細胞は増殖に必要な特有の因子があるが、その因子をたたくのが分子標的薬です。免疫チェックポイント阻害薬は、身体の中の免疫細胞を活性化させてがんをたたく薬です。2019年、この2つの薬の併用療法がより有効性を示したことが報告され、今は進行肝臓がんの治療として行われています。
◎肝移植 最後の手段が肝移植です。劇的な回復が望めますが、免疫抑制薬を飲み続ける必要があります。加えて、ドナーの確保の問題もあります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

