「大腸がんは、症状に気付いたらすぐに受診すれば大丈夫!」などと軽く考えていてはいけません。大腸内視鏡で治療ができる可能性のある早期大腸がんは、ほとんど症状はありません。何か症状が出ていることに気付いて病院を受診した時は、残念ながら外科手術。つまり、腹腔(ふくくう)鏡手術や開腹手術が必要な状況、もしくはそれより深刻な状態ということになります。

その大腸がんの症状は、大きく次の4つです。「おなかが痛い」「血便」「便が細くなった」「下痢が続いている」-。まずは「おなかが痛い」症状ですが、大腸がんから痛みが出ることはありません。これは、大腸がんによって硬い便の通りが悪くなることで起こるのです。硬い便が通るのはS状結腸や直腸などです。

次が「血便」症状。便とともに真っ赤な血が出たとか、黒っぽい血が出たというケースです。注意してほしいのは黒っぽい血が混じった便です。赤くないので、「血便ではない」と自分に言い聞かせる方々もいます。盲腸の近くの上行結腸などにがんができるとそのような黒っぽい血便になることもあります。3つ目が「便が細くなった」という症状。大腸がんによって通りが狭くなり、そこを便が通過することで便が細くなるのです。そして、4つ目の症状が「下痢が続いている」。どういうわけか便が細くなるのではなく、下痢が続く人もいるのです。また、「便秘と下痢を繰り返す」人もいます。これらの症状以外に「貧血」もあります。貧血は慢性的に経過するため、患者さん自身が貧血に気付くことは極めて難しいのです。

4つのいずれかの症状に気付いた時は、大腸内視鏡治療ができるケースはまれですが、少しでも早く発見するために、迷うことなくすぐに消化器内科を受診しましょう。