「食道がん」は、浅い粘膜に発生した段階で転移を起こしやすい。この点が他のがんと大きく違うので、予防のために、普段からリスク因子には十分気を付けましょう。そのリスク因子は生活習慣が大きくかかわっています。
(1)お酒には十分注意しましょう! お酒は絶対飲んではダメ、というわけではありません。
アルコールは飲むと肝臓でアセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドが発がん物質。そして、アセトアルデヒド分解酵素で無害化されて排出されます。ところが、日本人の約40%はアセトアルデヒド分解酵素が欠損しているので、アセトアルデヒドが身体にとどまりやすく、発がんリスクに-。その40%に入るのは「お酒を飲んだ時に、顔がすぐ赤くなる人」。日本人やアジア系の人に多いので、このタイプは、お酒はほどほどに…。
(2)喫煙 喫煙の食道がんリスクは、喫煙しない人と比べて約2・7倍という報告があります。加えて、喫煙はすべてのがんリスクとして報告されています。すべきは、禁煙です。
(3)胃食道逆流症 胃液が食道に逆流することが繰り返されると、食道に胃酸による炎症が起こります。それが「胃食道逆流症」で、食道がんの約10%を占める「腺がん」の原因になります。日本人も肥満の人が増えてきたことで、このがんが増えているのです。
(4)熱いもの、辛いものを毎日のように食べる これは食道への直接の刺激によるもので、習慣性によって炎症を繰り返し、がんを発症させます。
食道がんの大きなリスク因子はこの4つです。ただ、食道がんの90%を占める「扁平(へんぺい)上皮がん」は(1)と(2)と(4)です。お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人はお酒を控え、喫煙者は禁煙が何より大事、熱い食べ物などは習慣化しない。そして、食道がんは60歳から増え始め、75~80歳がピークに。だから、50歳くらいから早期発見を心がけ、内視鏡の検診を受けるようにしましょう。(医学ジャーナリスト・松井宏夫)

